校長日誌

校長日誌 最近の大学入試の状況について

6月19日(木)

 先日、大学入試の方法について触れましたので、最近の大学入試の状況についても私が感じていることを示したいと思います。大学入試を受験する18歳の人口は近年では1992年(平成4年)の約205万人をピークに年々減少して、2024年(令和6年)は約109万人になっています。それに対して、特に私立大学の数が大学設置に係る規則が緩和されたため、急激に増加しています。2024年度には、国立大学82校、公立大学95校、私立大学592校あり、私立大学の約6割が定員割れをしているという状況にあります。18歳人口に対する大学進学率は、1992年(平成4年)の38%に対して、2024年(令和6年)は60%を超えています。こうした状況を考えると、今はいける大学ではなく、本当に行きたい大学に行けるように努力することが重要であると思います。

 そのような中で、受験産業では年内入試を強調しています。特に、私立大学での受験性確保は大学の存続にも大きな影響を与えますので、いろいろな手を打ち、早い段階での囲い込みをしようとしていると感じます。しかし、年内入試である総合型選抜と学校推薦型選抜では、学力検査の実施はできないことになっています。そうした中で、昨年度私立大学受験者数が全国第4位で113,762人が受験した東洋大学では、25年度入試で公募制の「学校推薦入試 基礎学力テスト型」を全学部で初めて実施しました。面接や小論文などは実施せず、学力テスト(英語・国語または英語・数学の2教科)で合否を判定し、他大学との併願も可能というものです。東洋大学全体では、募集人員578人に対して約2万人が志願し、合格者数は4194人、倍率は4.68倍でした。

 これも、学力検査のない入試で、書類と面接などで選抜をしても、結局基礎学力のない生徒が大学に入ってきてしまい、質の低下などが問題になっているからではないかと思います。今から、15年くらい前に中教審の答申を受けて、北海道大学元入試室長であった佐々木隆生氏が座長となり、文部科学省で約2年間に渡って開催された「高大接続テスト(仮称)」を検討する会議が実施されていました。これは、当時から、学力試験を課さないで選抜して入学した大学生が、試験の時は、やる気に満ちて、はきはきしているように感じられたが、いざ、入学してみると覇気もなくあまりやる気も感じられない生徒が見られ、大学生の質の低下などが問題となっていたことがあり、そのために、大学へ入学をしてくる生徒の基礎学力の担保として、高校生に「高大接続テスト(仮称)」というものを課して、必要な基礎学力が身についている生徒を選抜していく材料にするものであったと思います。要は、アメリカでAO入試をする際に必要となるスコアをだすSAT等の試験と同じようなものを導入するというものでしたが、実現せずに棚上げになりました。

 大学を経営していくために多くの大学生を取りたいが、やはり、基礎学力のしっかりしている生徒を取りたいという表れではないでしょうか。また、これとは別にいくつかの国立大学で総合選抜型の入試の枠を多くして、総合的な学力の身についている生徒を取りたいという流れもあることも聞いています。単なる座学で得られる知識だけではなく、非認知能力も含めた総合的な学力を身に付けた生徒を望んでいるとも言われています。私たちは、こうした時代の流れもいち早く察知して、生徒たちにどのような力を身に付けさせるようにしなくてはならないかを適切に判断して、対応する必要があるのではないかと強く感じています。