校長日誌 大学入試の状況について
10月10日(木)
梅雨前線が日本列島の被害へ移動して、昨日までの雨はようやくやみました。昨日は、最高気温がアメダスの設置されている隣のさいたま市で18.2℃でしたが、本日は最高気温22℃の予報が出ています。明日以降は25℃程度の予報となっていますので、ようやく秋らしい日が続くことを期待したいと思います。
昨日、埼玉県高等学校長協会の進学指導部会・進学指導班研究協議会という会合に参加してきました。その会の最後に、駿台予備学校 教育DX本部 教学マネジメント部の斎藤様を講師としてお招きして、「令和7年度入試を踏まえた今後の入試の展望」という講演を聞いてまいりました。
最初に、受験人口と大学入学定員推移として説明がありました。
現在、51歳~52歳の保護者世代が18歳であった1992年度が受験人口(18歳人口)約121.5万人で、大学入学定員の1.80倍に対して、2025年度は約65.6万人で大学入学定員の0.96倍になります。つまり、1992年度は18歳の高校生が大学に入学したいと思っても約半分近くの生徒が不合格になっていましたが、来年度は選ばなければ誰でも大学に入学できる時代になっていることから、保護者の皆さんが自分たちの受験した時代と今の受験状況を同じだとは思ってはいけないということです。以前、校長日誌の中でも記載しましたが、2024年度入試では全国の私立大学の59.2%が定員割れをしているということです。
さらに驚かされたのは、2024年度入試の私立大学の一般選抜の志願者の占有率は、上位21大学の合計が50.2%を占め、残り490大学の合計が49.8%ということでした。
国公立大学の一般選抜の確定志願者数推移は、20年前の2004年度が5.58倍に対して、2024年度は4.28倍と少しずつですが減ってきています。一方の私立大学の一般選抜志願者数推移は、2006年度の250.2万をボトムに増えはじめ、2019年度の389.0万人をピークにコロナ禍の中減り始め、2024年度は309.2万人になっています。
大学入学共通テストのついては、地歴・公民や理科の科目選択の仕方に制限があったり、出願する大学によっての制約があったりするので、よく考えて出願する必要がるということでした。
大学入試の種類については、大きく分けると一般選抜と特別選抜に分けられます。一般選抜は、国公立大学では大学入学共通テストと個別試験の合計で行われるものが通常です。私立大学では、個別試験、共通テストのみ、共通テストと個別試験の合計などを活用しています。
特別選抜は、国公立大学は学校推薦型選抜と総合型選抜(旧AO入試)があり、合計しても定員の2割未満です。しかし、私立大学では、人員確保のためか「年内入試」などと呼び、学校推薦型選抜と総合型選抜(旧AO入試)での入学者が全体の6割を占めるようになっています。(私立大学は学校推薦型選抜で定員の5割までを選抜可能になっている。)この「年内入試」という言われ方がちまたで叫ばれるようになったということで、保護者の方々が年内に決めておかないと遅れをとっているような感覚になってしまう様なところがあるようです。これは受験生の心理というより、受験生の保護者の心理を突いて、早く入学を決めさせて少しでも定員割れをしないように入学者を確保しようとする方法のようです。
また、この学校推薦型選抜で、最近のトピックは校長の推薦が必要だが、今までは論文とか面接とかだったところに通常の学科試験だけを課すところが出てき始めているところがあり、2月3月にやってきた入試をそっくりそのまま年内に行ってくるような感覚のものがあるということでした。そういうところと、全般的に難関大は、出願要件に高いハードルを設け、課題も時間を要するようなものを出し、面接は口頭試問的なものを課して、一般選抜では選考できないような「尖った」部分を受験生に期待しています。中堅大とかに至ると、特に入りやすい大学ほど、受験生の意欲重視になり、要求される学力も高くなく、早期の学生確保に走るケースになってきているというところがあるそうです。
現在、3年生が受けている模擬試験は、浪人生と現役生が混在となっています。高卒が4月から浪人をして1年間やってきて合格にたどり着くのに対して、現役生は部活動や文化祭だいろいろあって伸びないような停滞する時期というのが必ずありますので、なかなかスマートな右上がりという形にはならないそうです。
それでも、例えば秋口からもうちょっと経つと、このぐらい時期を分岐点として成績が伸び始める生徒が出てくるそうです。このころから具体的な先行きを考えて伸びるんですけれど、場合によってはここであるいは1月共通テストの点数が出てしまって判定がCやDとなったときに、諦めてしまうと学力の伸びが止まってしまうこともあります。
実はこの秋口から1月の共通テストまで粘った人だけでも、やっぱり学力の差っていうのは大きく出てくるもので、さらに最終的にゴールをするときについてはやっぱり現役生というのは、それなりにやった分はしっかり伸びていきますので、粘り強くやった方が勝ちという形が出ているということだと言います。
そういう意味では、今わからないものへの不安というものが非常に要素としては多い形の年になりますので、不安、それから周りの方とみたいな考え方、あるいは保護者の方がご自身の時を考えるとすると、やっぱり難しい大学入試っていうのはこういうものだっていう固定概念みたいなものにとらわれがちなんですが、実は安全志向に入ってしまういわゆるそういうきっかけになってしまうケースがあると思います。
ぜひ粘り強く取り組んでいくことが、これからの生徒の将来についての分岐点になるということです。
受験は団体戦です。皆で前を見て進みましょう。