校長日誌

校長日誌 教育講演会について

10月24日(木)

 昨日、日本教育公務員弘済会埼玉支部の教育研究助成金贈呈式並びに教育講演会に出席した際の教育講演会の概要について少し触れさせていただきます。 講演会は株式会社ジャーマン・インターナショナル代表取締役社長であるルース・マリー・ジャーマン氏を講師として、「世界が絶賛する日本のスゴイところ ~日本滞在36年の米国籍の私が考える日本の変化と未来~」という演題で行われました。

 講演の中では、この36年間で日本のグローバル化が加速化して、外国人も多く入ってきている。日本在住の外国籍の方も増え、日本の多様化も進んできている。この多様化がもたらす力をどのように活かすかが将来、子供たちの課題にもなる。また、世界規模での良い評判が日本の観光立国としての地位を実現しているともいえる。

 ルーシーさんから見ると、日本の多様性が本格化していて、子供たちの未来には多様なチャンスがあるともいえるというのです。また、外国人の定住が進むと、人材のプールが増え、女性やシニア、外国人の活躍が期待できるようになるともいいます。そうした中で、日本人の持つ優れた部分が重要な意味を持ってくるというのです。

 これからの日本の社会は、DE&Iが大切にされており、女性の「出番」が増えてくるといいます。ここで、DE&Iとは「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」のことで、従来、企業が取り組んできた「ダイバーシティ&インクルージョン」に「公平/公正性(Equity)」という考えをプラスした概念のことを言います。

 ダイバーシティは、組織内外の人々の多様性を指し、性別、年齢、国籍、文化、能力、思考性性、思考、宗教などさまざまな背景や視点を持つ人々が含まれます。これから日本の組織もそうなります。そこで、日本人のらしさのところはおもてなし、精神ウェルカムの気持ち、相手を考える気持ちは、ものすごく大切な役割を担うことになります。

 エクティは、公平性を意味していて、心のニーズに応じて支援やリソースを提供する、不公平な障害を取り除くことです。日本人が持っている、察知力とか動作力、自然に無意識に子どもたちに教えている相手を考えること、空気を読むこと、自分でちょっと考えて行動すること、教えていることが、ものすごく大事なことになります。

 インクルージョンは、誰でもウェルカムで、みんな同じチームのメンバーですよっていう全ての人が組織やコミュニティに受け入れられ、価値を感じる環境を作ること。インクルーシブな状態を作るのも、日本的な聞き上手なところがインクルージョンをすごく促進させる。聞き上手というのは、あなたの話を聞きたいという日本人が心から思う表現、表情からわかる、あなたに興味ありますっていう聞き上手なところがこのインクルージョンというものにものすごく大事なパーツがあるのだなということでした。

 この3つの点でも、日本人のもつ良さが大きくかかわってくるということでした。日本人特有の「能力」に自信を持つことから始めましょうということでした。そうした中で、外国人、女性やシニアの視点から日本らしさを理解することが大切だといいます。

 ①グループの考え方、「みんなで」があるから安心できる:「安心」

  日本の誇れる姿勢:危機へに対応力、一丸になれる国民性 女性はフルに活躍できる環境

 ②コストより長期目線で品質とプロセスを重視する:「安定的・品質重視」

  日本の誇れる姿勢:プロセスを共有し、コンセンサス重視 検討のプロセスに女性の視点が必要

 ③報連相を大切にするため、チーム力・組織力がある:「組織力」

  日本の誇れる姿勢:チーム自体が多様化しているため、どんなメンバーでも活躍できる

 ④オーバーアピールしないからサプライズが多い:「相手を先に考える」

  日本の誇れる姿勢:静かな努力で、静かに大きな結果を出す 「まだまだ」と思う心や向上心が格別である

といった四つの日本らしさをあげられていました。

 国際層とコミュニケーションに苦労する理由として、大きく二つに分類できるということでした。

 Low Context Style=空気を読まないタイプ 言語化重視型

 High Context Style=空気を読むタイプ 察知力重視型

こうした違いによるコミュニケーションの取りにくさがあるのと、同じ重視型でも、文化や環境の違いなどによってすべてが合致するわけではないということも理解する必要があるということでした。

 コミュニケーションスタイルと文化的背景が異なることを意識して、「Why」の説明(言語化)が重要であることを実践すべきであり、コミュニケーションツールとしての日本人の英語力に自信をもって行動して欲しいということでした。最後に「誰もが納得し、誰にとっても嬉しい、活躍できる社会づくりのため、コミュニケーションと言語化に注力しましょう!(笑)」とエールを送ってくれました。

 この講演を聞いて、苦手意識を持つのではなく、ポジティブに行動することが大切であると強く感じました。ありがとうございました。