校長日誌 2学期終業式
12月24日(水)
本日は朝から雨が降り、最高気温7℃、最低気温4℃予想となっています。本格的な雨は久しぶりです。最近は熊の出現や火事の報道が多く乾燥している状況の中では、必要な雨なのかもしれません。
本日、9時から化学講義室を会場にリモートで2学期終業式を実施しました。
校長講話の後、生徒指導主任講話、進路指導主事講話を行い、終業式終了後に表彰を行いました。表彰は、新聞部、書道部、美術部、男子テニス部、陸上競技部、ハンドボール部男女の大会等の関係を行った後、先日実施した球技大会の各競技の各学年の1位のクラスを表彰しました。
校長講話の概要は以下のとおりです。
皆さん、おはようございます。令和7年も残すところあと8日となりました。皆さんにとってどんな1年だったでしょうか。1年の慶は元旦にありと言われます。来年をどんな1年にしたいのか、是非考えて行動してみてください。
ここで、一つご紹介します。
今年は、10年ぶりに日本人がノーベル賞をW受賞しました。生理学・医学賞に大阪大学特任教授の坂口志文氏が、化学賞に京都大学特別教授の北川進氏が、それぞれ共同研究者とともに選ばれました。坂口氏は「免疫応答を抑制する仕組みの発見」が、自己免疫疾患やがんなど免疫が関わる病気の予防や治療につながると高く評価されました。また、北川氏は気体を自由に出し入れできる「金属有機構造体(MOF)の開発」が評価され、環境・エネルギー問題や新素材開発など広範な分野での応用が期待されます。
北川先生は、教え子が教授になる際、信楽焼のフクロウに座右の銘である「運鈍根(うんどんこん)」を記して渡すそうです。フクロウは知性の象徴とされます。「運鈍根」は「幸運」「鈍重」「根気」から一文字ずつを取って作った言葉で「成功の条件」として「成功に必要なのは、チャンスをたぐり寄せる幸運、鈍いくらいの粘り強さ、そして、あきらめない根気だ」という思いが込められているそうです。北川先生のその道のりは、座右の銘とする「運鈍根」を地で行くものだったというのです。
現在、文部科学省では「文理横断・文理融合教育の推進」ということをあげています。国際社会において、日本の小中学生の数学や理科分野の成績はとても優秀であるにも関わらず、成長とともに理系分野に進む人材が他国に比べて少ないという統計結果が出ています。これは、将来、我が国において理系人材が不足してくるということを意味しているものであります。さらに、首都圏にある私立大学では、圧倒的に文系学部が多く、理系学部が少ないということがわかっていて、国では文系学部を理系学部に転換することを推奨して、多額の補助金なども用意しているというのです。でも、そう簡単に行くものでしょうか。施設を整えても、教える側の人材がいなくては、必要な人材を育成することは難しいのではないでしょうか。
また、STEAM教育というものがあります。これは、もともとあったSTEM教育に新たにAを足したものです。STEM教育とはScience、Technology、Engineering、MathematicsのSTEM分野が複雑に関係する現代社会の問題を、各教科・領域固有の知識や考え方を統合的に働かせて解決する学習としての共通性を持ちつつ、その目的として①科学・技術分野の経済的成長や革新・創造に特化した人材育成を志向するものと、②すべての児童生徒に対する市民としてのリテラシーの育成を志向するものとがあるのです。
STEAM教育とは、科学や技術に加え、芸術Arts(デザイン、感性等)や教養Liberal Arts(A)を取り入れた学びです。文系・理系の枠を超え、創造的に問題を解決する力を育てます。
私はかつて、理化学研究所の広報室で1年間、長期研修をしていました。そこでは、研究者が例えば5年間という期間を決めて契約して、期間内に成果を上げることで任期を更新する制度になっていました。そこで見たものは、当然、研究者は理系人間です。しかし、その研究室の経理関係や事務関係を担っている人は文系出身者が多かったと思います。また、研究成果を発表するのは、英語論文です。日本語の論文をいくら出しても評価されません。すると、論文の英訳を補助するスタッフも必要になります。ただし、同じ仕事をするにしても、理系分野を全く知らないのではなく、教養として身についている人の方が、より取り組みやすいのではないでしょうか。
ですので、将来、文系的な分野に進む人も科学的リテラシーという教養のようなものを身に付けることは、大切なのではないかと思います。また、研究者のような理系分野へ進もうとしている人も様々な教養は必要なのではないでしょうか。
将来のこの国を支えていく皆さんは、こうしたことも知ったうえで、自分自身の夢の現実に向けて、様々な努力をしていって欲しいと思います。本校の進路指導部が掲げる「全教科学習」は合致しているとも言えます。
とはいえ、3年生は年明け早々に大学入学共通テストです。体調管理に気を付けて、これまでの努力の成果を発揮できるように取り組んでください。2年生はよく言われる言葉では、年明けから3学年の0学期です。自分自身の目標を見極めて、一歩一歩やるべきことを始めましょう。1年生は、来るべき将来に向けて、何ができるかを考えて行動してください。年末に向けて、寒気と暖気が交互に 日本列島に近づいてくるといわれています。感染症にも気を付けながら、体調管理を意識して、皆さん、良い年をお迎えください。